コラム

サイディングを塗装する前に知っておくべきこと

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外壁のサイディングをそろそろ塗り替えよう!と業者に依頼する前に、知っておいていただきたいことがあります。
それは、ご自宅のサイディングがどんな取り付け方をされているのか?です。

サイディングの取り付け方には「通気工法」(または通気構法)と「直貼り(じかばり)工法」と言われているの2通りの工法があり、もしご自宅のサイディングが「直貼り工法」で施工されたものであれば、外壁塗装はお勧めしていません。
直貼り工法は壁内部に水分を閉じ込めて抜けにくい造りになっており、裏側からサイディングを腐食させてしまうため、せっかく表面を塗装したとしても結果的には塗膜が剥がれたり、膨れを起こしやすくなっています。

そこで今回は次の5つの点についてご説明したいと思います。

①「通気工法」と「直貼り工法」…何が違う?

サイディングを用いた外壁材は、通気工法か直貼り工法のどちらかで取り付けられています。
現在は通気工法での施工が一般的となっていますが、昔は直貼り工法が一般的でした。

直貼り工法とは

直貼り工法は、防水シートの外側にサイディングをぴったりと隙間なく直貼りした工法です。

直貼り工法だと、室内と屋外の温度差によって発生した結露(水分)や外装材からの雨漏れがあった場合、水分を外に排出させる仕組みが無いために水分がその場所に留まって建物を傷める可能性があります。

内部に留まった水分はサイディング材の裏側からゆっくりと浸透していき、サイディング表面にまで影響を及ぼした末にサイディングの剥がれや膨れを引き起こします。
特に寒冷地では結露が多く発生するため、注意が必要です。

通気工法とは

通気工法は、外壁材と壁の間に通気層を設ける工法です。

最も結露の可能性が高い箇所は外装材の裏側(外壁材と壁の間)なので、そこに通気層を設けたのが通気工法です。
仕組みとしては、防水シートで壁を覆い、さらに壁と外壁材との間に胴縁(どうぶち)という木材を挟んで木材の厚みで隙間を作り、通気層を設けることで壁内の湿気を外部に放出してカビの発生を抑えます。

湿気を伴った空気は、「土台水切り」と呼ばれる部分の隙間や、屋根の軒裏や棟部などに設けた換気口から屋外に排出できるような仕組みになっています。
直貼り工法に比べてコストはかかりますが、サイディングの裏側に発生する水分をスムーズに屋外に排出するために有効的な工法で、現在ではこちらの通気工法が標準となっています。

通気工法は優れた防露性を発揮します。万が一台風などで部材の接合部から雨水が侵入しても、通気層を通じて排出することができます。
夏季は通気層の通風によって遮熱効果を得ることができ、屋内の冷房効果が向上します。

②「直貼り工法」と「通気工法」が存在する理由とは?

この2つの工法が存在する理由は、昔から現在までの住宅建築方法の移り変わりに大きく関わっています。

昔の家づくりには水分を排出するという概念自体が無く、全て直貼り工法で建設することが一般的でした。
当時は断熱の概念がなかったために断熱材も無く、真冬の室内と屋外の温度差がほぼありませんでしたが、その代わりに結露が起こらず、建物内に湿気が溜まることもありませんでした。

ですが次第に断熱の重要性が注目されるようになり、1970年代から住宅に断熱材が採用されると、通気層が無い直貼り工法の住宅で結露や湿気漏れが起き、結果として建物が短期間で傷んでしまうという問題が浮上しました。

その結果、1990年代から次第に全国で防水シートと外壁材の間に通気層を設けた通気工法が一般的な工法となり、2000年4月の住宅品質確保促進法では標準工法として通気工法を定めました。

このような状況により、現在では直貼り工法と通気工法の両方を採用した住宅が存在しています。

③自分の家がどちらの工法かを調べる方法

サイディングが直貼りなのか通気工法なのかを見分ける簡単な方法があります。
まずはご自身で確認してみましょう!確認方法はとても簡単です。

サイディング外壁の一番下にある「水切り」と呼ばれる部分の隙間に薄いカードか定規のような物を差し込んで奥行きを測り、その奥行きの幅でどちらの工法なのかを判断することができます。

奥行きが約10mm~18mmなら直貼り

奥行きが約10mm~18mmであればサイディングだけの厚さと思われるため、直貼りの可能性が高いです。

外壁の構造自体が結露が発生しやすい状態です。
次の「④直貼り工法のおすすめメンテナンス方法」をご覧ください。→④直貼り工法のメンテナンス方法

奥行きが約25mm~30mmなら通気工法

奥行きが約25mm~30mmであればサイディングと胴縁の厚さと思われるため、通気工法の可能性が高いです。
この場合は外壁塗装ができますが、外壁材や柱、断熱材などの劣化がかなり進んでいる場合は重ね貼りや貼り替えをお勧めすることがあります。
「⑤通気工法のおすすめメンテナンス方法」をご覧ください。→⑤通気工法のメンテナンス方法

※サイディングの厚みは12mm~18mmなど様々ですが、14mmと16mmのサイディングボードが使われることが一般的です。
※胴縁の厚さは最低15mm以上が一般的です。

④直貼り工法におすすめするメンテナンス方法

直貼り工法のサイディングを塗装してしまうと、塗装したにもかかわらず次のような症状が出てしまう可能性が高くなります。

  • クラック(ヒビ割れ)
  • 塗装のはがれ
  • 塗装のふくれ

特に冬場はサイディング材の中に染み込んだ水分が凍結して体積が増えるため、このような症状が出やすくなります。

水分や湿気を逃がす透湿性塗料であれば外壁塗装ができると記載されているものもありますが、湿気を溜めこむ構造となっている上に、既にサイディングが痛んでいる可能性があるため、やはり上から塗装することはお勧めできません。

透湿塗料とは雨水を通さずに湿気のみを通す塗料ですが、外壁の構造自体が結露が発生しやすい状態であることに変わりはないため、塗装ではなく次のようなメンテナンスをお勧めしています。

直貼り工法におすすめするリフォーム①
【重ね貼り(外壁カバー工法)】

全面リフォームをご検討中の方にお勧めするのが重ね貼り(外壁カバー工法)です。
既存の外壁の上に通気工法で新しい外壁を張っていく方法で、軽量で耐久性のある金属系サイディングを今の外壁の上から重ねて張っていきます。

作業手順としては、既存の外壁の修繕を行ってから防水紙と防腐処理された厚さ約15mm~20mm 程度の胴縁を取り付け、その上に厚さ約15mmほどの金属サイディングを取り付けていきます。

胴縁と新たなサイディングの厚み(合計30mmほど)が今までの壁にプラスされるので、開口部などのサッシ周辺や水切り部分などとの折り合いをつけながら作業を進めるため、ある程度の知識と経験が必要となります。

外壁の重ね貼りは、既存の外壁を撤去する必要がないために廃材処理がなくコストが安くつくことや、外壁が二重になるため断熱性・遮音性が増すなど、嬉しいメリットがあります。
(外壁・柱・断熱材などの劣化がかなり進んでいる場合は貼り替えしか選択できないこともあります。)

直貼り工法におすすめするリフォーム②
【貼り替え】

貼り替えは、既存のサイディングを全て解体・撤去した後に、新たに通気工法で外壁を張っていく方法です。

家の外壁全面を解体して貼り替えるとなると工期が長くかかり、廃材処分費や人件費など費用が高額になります。そのため通常は重ね貼りをお勧めしますが、既存のサイディングに大きな歪みや反りが出ていたり、断熱材や柱などの劣化が著しい場合は重ね貼りができないため、貼り替えとなります。

どうしても修繕しなくてはいけない一部の外壁、または一面だけを貼り替えることも可能ですが、外壁材が廃番になっている可能性もあり、既存外壁材と新規外壁材の厚みが若干変わることもあります。

また、一部のみを修繕しても他に修繕を必要とする箇所が次々と出てくる可能性が高いため、よほどのダメージある場合を除いては外壁カバー工法で家全体を重ね貼りすることをお勧めしています。

⑤通気工法のメンテナンス方法

既存の外壁が通気工法の場合、外壁のリフォームは上記に記した「重ね貼り」「貼り替え」「塗装」が加わり、この3種類の中からメンテナンス方法を選ぶこととなります。

費用としては 塗装<重ね貼り<貼り替え となり塗装が一番コストが安くつくので、通常は塗装となります。

ですがサイディングには寿命があります。定期的にメンテナンスを行ったとしても平均して寿命が30年~40年ほどと言われており、メンテナンスが最適ではない時期に行われたり、環境や条件によって、もっと寿命が短くなってしまう場合もあります。
状況を見ての判断となりますが、その場合は「重ね貼り」または「貼り替え」をお勧めすることもあります。

⑥まとめ

サイディングの取り付け方である「直貼り工法」か「通気工法」かによってお勧めするメンテナンス方法の選択は変わります。
まずはご自身でサイディングがどんな取り付け方をされているのかを確認してみましょう。

サイディングと外壁の間に隙間がない「直貼り工法」ならば、外壁の重ね張りか貼り替えを、
サイディングと外壁の間に隙間がある「通気工法」ならば、通常は塗装を、土台が傷んでいるようなら重ね貼りか貼り替えをお勧め致します。

香川県高松市の屋根・外壁塗装の専門店エグゼストは、お客様から「エグゼストにお願いして良かった」と言って頂けるよう、お客様が安心できる塗り替え工事のご提案を致します。
一戸建て住宅から、マンション・アパート・店舗などの屋根・外壁塗装のほか、シーリング工事(コーキング打替)、雨漏り修理、外壁ひび割れ修理、外壁塗装のふくれ修理、防水工事、屋根外壁板金工事、雨樋工事、サイディング張り工事、外壁工事、外壁断熱工事、外壁耐震工事も行っております。

 

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