コラム

防水工事の種類②ウレタン塗膜防水

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防水工事の種類

雨水が建物内に侵入するのを防ぐために防水処理された部分を防水層といい、防水層を形成するための方法が4種類あります。


①シート防水
②ウレタン塗膜防水
③FRP防水
④アスファルト防水


今回はその中の②ウレタン塗膜防水についてご紹介したいと思います。

ウレタン塗膜防水は、液状のウレタン樹脂を重ねて塗装することによって防水層を形成する工法で、現在最も多くの現場で採用されている防水工事です。
おもに陸屋根(勾配の無い屋根)やベランダの床などに使用され、複雑な形状の場所であっても防水膜を作ることができます。

ウレタン塗膜防水

ウレタン塗膜防水の特徴をまとめてみました。

使用する素材 ウレタン塗膜防水の特徴 耐用年数(※1)
液体状のウレタン樹脂 ◆メリット
・液体状なので複雑な形状の部位にも施工できる
・防水層が軽量なので建物に負担をかけない
・シートのような継ぎ目がなく、均一な仕上がりとなる
・耐久性が高い

◆デメリット
・下塗、上塗りなどの工程で乾燥期間が必要
・手塗りなので均一な状態に仕上げるのに技術を必要とする

約10~15年

※1…5年に1度はトップコートの塗り替えが必要です。

ウレタン塗膜防水の工法と特徴

ウレタン塗膜防水の施工法には『ウレタン通気緩衝工法(絶縁工法)』『密着工法』があり、密着工法でもメッシュを使用する工法を『メッシュ工法』と呼んでいます。
それぞれの工法の特徴は次の通りです。

工法 特徴と工程 主な使用用途
ウレタン
通気緩衝工法
(絶縁工法)
◆特徴
・通気緩衝シートと脱気筒を使用することで、下地に含まれている水分や湿気を取り除くことができる工法
・密着工法よりもコストが高い
◆工程
・下地処理+プライマー+通気緩衝シート+ウレタン2層+トップコート塗装+脱気筒
・下地の内部に水分が含まれている、または
雨漏りしている可能性が高い場合
・規模が大きい屋上やルーフバルコニーなど
密着工法 メッシュ有り→メッシュ工法
◆特徴
・下地と防水層の間にメッシュシートを敷き込む工法
・メッシュが入ることで防水層の強度が増し、地震や衝撃に強くなる
・均一に塗布するのが難しい場合(勾配があるなど)に用いる工法
◆工程
・下地処理+プライマー+メッシュ+ウレタン2層+トップコート塗装
・勾配があって均一に塗布するのが難しい場所
・ベランダ、バルコニー、廊下など
メッシュ無し
◆特徴
・下地の上に直接ウレタン樹脂を塗って防水層を作る工法
 (立ち上がり部分など、部分的にメッシュを使用する場合もある)
・下地に直接ウレタンを塗布するため下地の影響を受けやすい
・下地が水分を含んだ状態で施工すると膨れを起こす可能性がある
・複雑な場所でも施工でき、コストが安い
◆工程
・下地処理+プライマー+ウレタン2層+トップコート塗装
一軒家のベランダ

ウレタン通気緩衝工法

ウレタン通気緩衝工法による屋上防水工事の施工事例を見てみましょう。

①下地調整


劣化しているシートを撤去して下地を整えます。
下地の状態が悪い時は、下地を均一にするためにモルタルを塗ることもあります。
クラック(ひび割れ)が入っている所はコーキングを打ちます。

②プライマー(下塗り材)塗布


プライマーを塗布します。

プライマーは通常、下地と塗膜を密着させる目的で使用されます。
ウレタン通気緩衝工法では下地と防水層の間に通気緩衝シートが入るため、プライマーは下地と通気緩衝シートを密着させる役割をします。

③ドレン改修


新しくドレン(排水口)を設置します。

ドレンまわりに不具合があると漏水原因となる可能性が高いため、しっかりと防水処理をします。

④通気シート張り付け


シワや空気が入らないように床面に通気緩衝シートを敷き、ジョイントテープでシートとシートを繋ぎ合わせます。

端部は防水テープで下地に密着させます。

⑤脱気筒の設置


防水層と下地(コンクリート)の間に発生した湿気を逃し、防水層の浮きを防ぐための脱気筒を設置します。

排水口から離れていて、勾配の上部分にあたる所に設置します。

⑥ウレタンを2回塗布する


通気緩衝シートの上にウレタン塗膜防水材を塗布します。

規定の塗布量を守り、適切な塗膜厚に仕上げる作業を2回繰り返します。
塗膜が薄すぎても厚すぎても不具合の原因となるため、均一に塗装するのに技術を要します。

⑦トップコートを塗布する


ウレタン塗膜防水材を熱や紫外線から守るためにトップコートを塗布します。

トップコートも紫外線を浴び続けることで劣化するため、5年を目安に塗り替えを行うのが理想的です。

⑧完成


屋上のウレタン防水工事が完了しました。

密着工法(メッシュ工法)

次に、密着工法(メッシュを挟んだメッシュ工法)による防水工事の施工事例を見てみましょう。

①下地調整


劣化しているシート(写真左)を撤去して下地を整えます。

下地はできるだけ平坦にし、クラック(ひび割れ)はコーキング剤を打設して補修します

②プライマー(下塗り材)塗布


プライマーを塗布します。

プライマーは下地と防水層との接着剤の役割をします。

③ドレン改修


ドレン(排水溝)は常に雨水やゴミが集まる場所のためヘドロも溜まりやすく、錆びたり汚れたりして劣化しやすい所です。

スムーズな排水ができないと雨漏りの原因となるため、新しいドレンを設置してしっかりと防水処理をします。

④メッシュシートの上からウレタンを2回塗布する


シワにならないようにメッシュシートを貼り付けてウレタンを2回塗布します。

端部までしっかりと塗布します。

※このメッシュシートを貼り付ける工程を省いて直接ウレタンを塗布したものが、メッシュ無しの密着工法です。

⑦トップコートを塗布して完成


最後にトップコートを塗布してウレタン塗膜を紫外線や熱から守ります。

まとめ

ウレタン塗膜防水工事の3つの工法である『ウレタン通気緩衝工法(絶縁工法)』『密着工法』『メッシュ工法』についてご説明しました。
どの工法で施工した場所でも、長く良い状態で使うためにはメンテナンスが重要です。トップコートを5年に1度塗り直しながら、雨漏りはしていないか、膨らんでいる所はないか、苔や藻は生えていないか…など、日頃からチェックを行うようにしましょう。

劣化状況が進行してしまうと雨漏りに発展してしまう可能性が高くなるため、早めの対処をおすすめいたします。


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